夫のいない間に
 娘は幼い頃から夫に甘やかされ、大きくなってからは、私も殆ど叱る事の無くなった。

 驚いた顔をして私を見ている。

 「マキロンが可哀想じゃないの」

 声を落として訴えた私を、今度は夫の貴士と同じ目をして見つめた。

 「そんな言うなら、お母さんが行けばいいじゃない、どーせ暇なんだし」

  娘は父親に似るというけれど、理名は本当に夫にそっくりだった。

  丸い顔も、大きな目も、薄い唇も。

  薄情な所まで似なくていいのに。

  小学生の頃は、人見知りな私に似た所もあり、慣れていない集団の中にいると、私を探して涙目になっていた。

 その面影はもう、一欠片も無くなっていた。




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