夫のいない間に
 「お母さんは、足が痛くて仕事を休んでるの。散歩も行きたくないわけじゃないのよ!」

 声は、殆ど震えていた。

 確かに散歩をダルいと思う私もいたけれど。
 マキロンを買ってきたのは夫と娘だけれど。

 今、家の中で私を一番必要としてくれているのはマキロン。
 それをぞんざいに扱われて悲しかった。


 「何キレてんの? うっさいな、行けばいいんでしょ?? 」

  ふて腐れた娘が、ハーネスをマキロンに装着しようとした時だった。


 「吉岡さん! 宅配便でーす!」

 呼び鈴と同時に玄関の戸が開けられて、

 「あっ!! マキロン!?」

 マキロンが物凄い勢いで、そこから外へ飛び出してしまった。


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