夫のいない間に
 私も探さないと。
 大通りは車の量が半端ないから、轢かれる可能性もある。

 「どーせ戻ってくるよ、犬は賢いじゃん」

 タオルで頭を吹きながら、息子は欠伸をした。

 「じゃあ、あんたは戻ってきたらお母さん達に連絡して」

 夫の書斎に入って、もう一つ懐中電灯が無いか探す。
 

 「あ、あった」

 ペンライトより一回り大きなのが棚に並んでいた。

 すると、鼻先を、またあの ″香り ″がくすぐった。

  ″ミカン″。

  柑橘類の匂いだ。






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