夫のいない間に
 まだミカンがあるの?
 こんな時なのに、私は匂いの元を鼻で探した。
 机から?
 何気に引き出しを開ける。
 すると、果実というより化学的な薫りがモワッとそこから放たれた。

 「なに、これ。ガーゼ?」

 白いガーゼ生地のハンカチらしきものが、綺麗に畳まれて入っていた。

 これから匂いが発せられていたようだ。

 何でこんなものを?

 不思議に思いながらも、取り敢えずマキロンを探しに外へ。
 足は短くても、走るととても早い。


 「マキロン!」
 

 いつも行く散歩のコースを、名前を呼び時に茂みに入りながら気配を探した。
 











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