夫のいない間に
 名字も忘れてしまったあの人が、軽く会釈をして報告してきた。

 「もし、見つけたらご連絡いたしますから」

 ニッコリ笑って立ち去る。

 私の連絡先なんて知らないだろうに、社交辞令もいいところ。

 それとも、夫とはまだ連絡を取り合ってるの?

 あの人が出ていった事も、もしかして知ってるのだろうか?

 まさか。
 今、一緒に住んでるとか?

 さすがにそれはないでしょ。


 空を見上げると月が雲に覆われて、闇一色だった。

 懐中電灯の電池が切れた途端に、孤独感に襲われた。



 その夜。
 マキロンは見つからなかった。





< 63 / 95 >

この作品をシェア

pagetop