夫のいない間に
 先に自宅に戻っていた理名が、私が帰宅するなりガッカリしていした。

 「……歩けるんなら、はじめっから散歩に行ってれば、マキロンは飛び出さなかったんじゃないの?」

 「……」

 そうかもしれない。

 雨と膝のせいにして、マキロンの事を第一に考えてあげなかった私が悪い。


 作りかけの夕飯が、部屋中に中途半端な匂いを充満させていた。

 「ねぇ、どうするの? マキロンが朝まで戻らなかったら」

  私を理名が責め続ける。

 「また探すわよ。ビラも作るし、どこかに連絡しなきゃいけないようならする」


 マキロンが居なくなって、動揺してるのは理名だけじゃなかった。


 お玉を持つ手が震える。

 料理を再開しながら、自分が何をしてるのかわからなくなってきた。

 こんな時にこんなことを、してていいのだろうか? 、と。

 そんな私に、娘が更に冷たい声でこう言った。

 「お父さんの事は、どうして探さないの?」
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