夫のいない間に

 どのくらいの患者を抱えているか知らないが、ここでようやく名前と記憶の夫と一致したようだ。

 「受付しなくて大丈夫ですので、中にお入りください」

 「え、いいんですか?」

 「ええ、どうぞ」

  中には、まだ一人も患者はおらず、受付の女性がのんびりと準備をしていた。

 そこをスルーして診察室に入っていくので、訝しい目をしていた。

 どこの病院の受付も若くて可愛い子が多いのだが、ここは違った。ごくごく普通の、どちらかというと野暮ったい中年の女性だった。
 やはり、受付や看護師は院長の趣味もあるのだろうか、と思ってしまう。

 それは、さておき。
 
 「どうぞお掛けになってください」
 
 この先生が受付を通さずに病状を話すのは何故?

 保険証とPCをにらめっこしてから、私を見た。

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