すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
「悠里」

 焦がれるような声音に、体の疼きが大きくなる。

 距離を詰めた呼び方は、きっとこの場を盛り上げるスパイスのようなものなのだろう。一瞬ドキリとしたが、次々に与えられる刺激にそれどころではなくなっていく。

 瞼の裏が白く染まり、もう限界だと手足の先に力がこもった。

「あっ…ああぁ」

 大きく背中を逸らし、私に覆いかぶさっていた彼を胸もとにかき抱く。
 下腹部から全身に快楽の波が一気に広がり、それから急激に気怠さに襲われる。四肢を投げ出し、呆然と天井を見つめた。

 呼吸は乱れ、鼓動が激しく打ちつけてくる。

 私の顔を覗き込んだ彼は、額に優しく口づけてから起きあがり、バスローブを脱ぎ捨てた。

 再び覆いかぶさり、真剣な表情で視線を合わせた。

「悠里がほしい」

 熱い眼差しに、胸が絞めつけられるようだ。

 付き合ってもいないのにいいのかとか、彼は私をどう想っているのかなんていう疑問や不安は、今となっては頭の隅に追いやれている。

 あるのはただ、大好きな彼にもっと近づきたいという素直な欲求だけ。

 視線を逸らさないままうなずくと、柴崎さんは私の脚を持ち上げた。すっかり濡れそぼったそこに、彼の熱があてがわれる。羞恥心と怖さに、瞼をぎゅっと閉じた。
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