すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
翌日の午後になり、父に付き添って病院を訪れている。最初はひとりで行くと主張していたが、食が進まない様子を見ていると途中で倒れてしまわないか不安で、押しかけるようにしてついてきた。
問診を受けた後に、様々な検査が行われる。長い待ち時間が、私をどんどん不安にさせた。
「肺に影、ですか?」
全ての検査を終えたところで、医師から思わしくない宣告をされる。
「ええ。さらに詳しい検査をしてみないことには、なんとも言えませんが。とりあえず検査入院をしていただいて、その結果に合わせて治療方針を決めていきます」
〝影〟なんて言われると、よくない状態にあるとしか思えない。
呆然とする私の隣に座る父は、思わぬ結果に眉間にしわを寄せていた。
医師に診てもらえば安心できると、父を心配しながらもどこか安易に考えていた。こんなことなら、もっと早くに無理やりでも病院へ連れてくるべきだったと後悔が募っていく。
それから不安な数日を過ごし、検査入院当日となった。私も必要な荷物を手に、父に付き添って病院へやってきた。
ちょうど部屋に空きがあり、個室へ入ることができた。
「すまない、悠里」
父から謝罪を聞くのは、もう何度目になるだろうか。検査入院が決まった日以来、こうして私に謝罪を繰り返している。
「謝らなくていいから。それより、お父さんは元気になることだけに専念してよ」
持ち込んだ日用品をバッグから出しながら、努めて明るく返す。
「だが……」
「仕事の方は哲二叔父さんがお父さんの代理を務めてくれるし、私も定時に上がれるように周りの人が助けてくれているの。休みについても配慮してもらえるから大丈夫」
哲二叔父さんとは父の弟で、少し前まで他業種の会社に勤めていた。
前職を退職した現在は、川島金属機器の副社長として父を支えてくれている人物だ。
問診を受けた後に、様々な検査が行われる。長い待ち時間が、私をどんどん不安にさせた。
「肺に影、ですか?」
全ての検査を終えたところで、医師から思わしくない宣告をされる。
「ええ。さらに詳しい検査をしてみないことには、なんとも言えませんが。とりあえず検査入院をしていただいて、その結果に合わせて治療方針を決めていきます」
〝影〟なんて言われると、よくない状態にあるとしか思えない。
呆然とする私の隣に座る父は、思わぬ結果に眉間にしわを寄せていた。
医師に診てもらえば安心できると、父を心配しながらもどこか安易に考えていた。こんなことなら、もっと早くに無理やりでも病院へ連れてくるべきだったと後悔が募っていく。
それから不安な数日を過ごし、検査入院当日となった。私も必要な荷物を手に、父に付き添って病院へやってきた。
ちょうど部屋に空きがあり、個室へ入ることができた。
「すまない、悠里」
父から謝罪を聞くのは、もう何度目になるだろうか。検査入院が決まった日以来、こうして私に謝罪を繰り返している。
「謝らなくていいから。それより、お父さんは元気になることだけに専念してよ」
持ち込んだ日用品をバッグから出しながら、努めて明るく返す。
「だが……」
「仕事の方は哲二叔父さんがお父さんの代理を務めてくれるし、私も定時に上がれるように周りの人が助けてくれているの。休みについても配慮してもらえるから大丈夫」
哲二叔父さんとは父の弟で、少し前まで他業種の会社に勤めていた。
前職を退職した現在は、川島金属機器の副社長として父を支えてくれている人物だ。