半年間、一生分の愛をくれたキミに ー余命半年の私の最後の恋ー
「うわー男たらしだー!」


「まさかうちらの後ろにいたなんてね」


最悪なタイミングで気づかれてしまった。


『男たらし』と言う言葉で、校門を通る生徒が私を見てコソコソ話をし始めた。


本当は逃げたいけど、この状況じゃ逃げられそうにない。


「ねぇ男たらし。なんとか言ったらどうなの?」


頭が混乱して言葉が出ない。


「男たらしって言われて否定しないんだー」


「あっ、えっと…」


こういう時、何も言い返せない自分が嫌いだ。


「じゃあな!男たらし」


そう言って女子たちは去って行った。


私は他の人の視線を無視するように、早歩きで下を向いて生徒玄関に向かった。


靴を履き替えて教室に向かおうとしたが、さっきの女子たちがクラスみんなの前で「中枝紗奈は男遊び激しいから気をつけてー」と言っているのが聞こえたため、気まずくなって立ち入り禁止の屋上へ向かった。


ドアを開けて外に出ると、生ぬるい風が吹いていた。


フェンスにもたれようと近づくと、視界にベンチが映ったので、ベンチに座ろうと近づいた。


ベンチに近づくにつれ、人の足が見えた。


「誰か…いるの?」


そう問いかけても返事はない。


ゆっくりゆっくりベンチに近づいた。


すると、ベンチに寝転がっている男子が見えた。


名札の色は赤。


私と同じだ。


ということは同学年。


髪は茶色で、綺麗な顔立ちだった。


「綺麗…」


思わず見惚れてしまった。
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