離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。


 すぐには答えが出せないので、一旦は黙っていることにした。

 それよりも解決すべきは六花の借金だ。
 騙されて背負わされたことは明白だった。その上で返済すべき元本は完済しており、みなし利息を支払わされている。


(当時高校生だった六花に無理矢理相続させるなんて悪質だ。タダでは済まさない)


 大学時代の友人に刑事がいるので、彼に連絡して早急に動いた。
 まずは民事で返金を要求する。財務局への通報をチラつかせれば、和解を望むだろう。

 だがそれだけでは終わらせない。
 警察も動かして金融社は徹底的に潰すつもりだ。
 もう二度と六花のような被害者を出さないためにも。


 「今までよく頑張ったな」


 惺久が頭を撫でると、六花は両手で顔を覆って涙を流していた。
 そんな六花のことを、今度こそ自分が守りたいと思った。

 あの時は、六花が辛い思いをしているなんて何も知らなかった。
 知っていたとしても、学生の自分では何もしてあげられなかっただろう。


(六花が俺のことを覚えていなくても構わない。思い出してくれなくても良い)


 一年限りで離婚なんて考えていない。じっくりと六花との距離を縮め、本当の夫婦としてこの先もずっと一緒にいたいと思っている。

 だったら最初からそう言ってプロポーズすれば良かったのかもしれない。
 だが、ずるいとわかっていてもそうしなかった。
 どうにかして繋ぎ止めなくて、期限付きの契約結婚という形を取った。

 それ程もう二度と六花のことを離したくなかったからだ。


< 102 / 115 >

この作品をシェア

pagetop