離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
最終章 めぐりめぐる初恋の先
「惺久さんが、あのハルさんだったなんて……」
自宅に帰宅し、これまでの話をすべて聞いた六花は軽く放心していた。
「あの日、合格発表を見に行ったら第一志望の高校に合格していました。嬉しくてすぐに電話で両親に報告しようとしたら、父からすぐに帰って来てくれと言われたんです」
何かあったのかと急いで帰宅してみれば、冬実が離婚届を書いて出て行った後だった。
記載済の離婚届の隣に「もう無理です。ごめんなさい」という書き置きがあった。
「それで図書館には行けませんでした……」
「そうだったのか」
「その直後に父の癌が見つかり、ますますそれどころじゃなくなって次第にハルさんのことを忘れていって……本当にごめんなさい」
六花は深々と頭を下げる。
「ハルさんのおかげで合格できたのに」
「いや、そのことはもういいんだ。それよりも合格していたんだな。良かったよ」
惺久は優しく微笑む。
十二年越しの報告になってしまった。
「改めて、ありがとうございました」
「いや、六花が頑張ったからだろう。今までずっと、頑張ってきたんだな」
そう言われると目頭が熱くなる。
嬉しさと同時に、惺久に対する愛おしさがむくむくと膨れ上がる。
ほんの短い期間に勉強を教えてもらっただけの関係だが、六花にとっては初恋だった。