離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。


 付き合うということが具体的に想像できず、ただ一緒にいられて話せるだけで幸せだった。
 大変だった受験勉強を前向きに頑張れたのは、惺久のおかげだ。


「私、ハルさんのことが好きでした」


 惺久の目を見て真っ直ぐ伝えた。


「結局忘れて何言ってるんだって思われるかもしれないけど、初恋だったんです」
「今は?」


 惺久はじっ、と六花の目を見返す。


「過去形なのか?」
「い、今は……」


 六花の顔が耳まで真っ赤に染まる。
 ここまでくると惺久に自分の気持ちがバレているんじゃないかと思った。

 しかし惺久は六花の答えを待っている。


「今は、いえ今も……惺久さんのことが、」


 全部言い終わる前に唇を塞がれた。
 すぐに離れたと思ったら僅かに空いた隙間を見逃さず、そのまま深い口付けをされる。


「六花、俺と本当の夫婦になって欲しい」


 惺久の大きな両手に包み込まれ、ぎゅうっと抱きしめられる。


「この先もずっと一緒にいたい。一年だけじゃなくて、これから先一生傍にいさせてくれないか」
「はい……っ」


 今泣いたら惺久の服を濡らしてしまうと思ったが、堪え切れなかった。
 六花も自分の腕を惺久の背中に回し、抱きしめ返す。

 しばらくそうして抱きしめ合っていたが、少し離れて互いの視線が絡み合う。
 磁石に引き寄せられるみたいに、どちらからともなく口付けを交わした。


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