離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
六花が両手で顔を隠そうとすると、惺久は制止する。
あの時は互いにあまり顔を見ないようにしていたし部屋も暗かったが、今は丸見えだ。
恥ずかしさから毛布を頭から被ろうとすると、それすらも退かされてしまう。
「ちゃんと六花の顔が見たい」
「じゃあ、私だって惺久さんの顔よく見ます」
「はは、いいよ」
楽しそうに笑いながら何度目かの深い口付けを落とす。
昨日は散々泣いて苦しんだが、今は幸せすぎて胸が苦しくて自然と涙が溢れていた。
腰を沈めながら惺久は「辛いか?」と心配そうに訊ねたが、六花はふるふると首を横に振る。
「惺久さん、大好きです……」
「俺も六花を愛してる」
ぎゅうっと惺久にしがみつきながら、何度でも惺久への愛を確かめ合った。
成就するはずのないと思っていた恋が叶った。
それどころか十二年越しの初恋すらも実ってしまい、自分に都合の良い夢を見ているのだろうかと錯覚してしまう。
(もしかして、神様がご褒美をくれたのかな……)
まどろむ意識の中、そんなことを思いながら六花は静かに瞼を閉じた。