離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
自分は甘いのかな、と思った。それともこれは、血の繋がった母に対して冷酷なのだろうか。
冬実のしてきたことを簡単には許せない。
産んで育ててくれた感謝がないわけではないが、元通りの親子にはなれない。
だけど、自分の花嫁姿を見せてあげるくらいは悪くないだろうか。
「ありがとう、ううっ、本当にごめんなさい……っ」
冬実は「ありがとう」と「ごめんなさい」を繰り返し、目が真っ赤に腫れる程泣き続けていた。
*
「ごめんなさい、惺久さん」
帰り道、六花は惺久に謝った。
「招待状を出す気もないのに勝手なことを言ってしまいました」
「いや、いいよ。頑張ったな」
惺久は微笑み、六花の手を握る。
「惺久さん、今日はありがとうございました」
「俺は何もしてない」
「この場を設けてくれて、傍にいてくれたじゃないですか」
きっと二人きりでは難しかった。
言いたいことを言えていたかわからない。もっと感情的に吐き出していたか、上手く言葉にできていなかったかもしれない。
だが惺久が隣にいてくれたから、一応話をすることはできたと思っている。
冬実は帰り際、惺久に向かって「私に言う資格などないのかもしれませんが、どうか娘をよろしくお願いします」と深々と頭を下げた。
惺久は力強く「絶対に幸せにします」と答えてくれた。