離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
いちいち緊張して喉が渇いてしまう。
運ばれてきた赤ワインはまろやかな味わいでとても飲みやすく、喉がカラカラだったこともあって飲むペースが早くなってしまった。
「お酒はよく飲まれるんですか?」
「あっ、えっと……」
ワインをガブ飲みするのは気品に欠けていたかもしれない、と焦った。
「このパーティーに参加するのは初めてでしたので、緊張してしまって。喉が渇いていたんです」
「そうでしたか。遠慮なく飲んでください」
そう言って惺久はドリンクメニューを手渡してくれた。六花は不審がられてはいないようだと内心安堵しながら、白ワインを注文する。
「ワインがお好きなんですか?」
「そうですね」
本当は多数あるカクテルの名前がよくわからず、ワインを注文しているだけだった。
「僕もワインは好きなんですが、立食ですとなかなかゆっくり味わえなくて。涼風さんには申し訳ないことをしてしまいましたが、正直抜け出せて助かりました」
「永瀬さんはどうしてこちらのパーティーに?」
「主催者に招待していただきました。お世話になっている方なので、断れなくて」
「そうだったのですね」
改めて惺久に目を向けると、座っていても脚の長さが際立つなと思った。
ワイングラスを持つ手は大きくてゴツゴツしており、男っぽい。
目元は仮面で隠しているのに、きっとこの人は間違いなく美形なのだろうと思った。