離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。


「涼風さんは何故参加されたのですか?」
「えっと、友人が行っていて楽しそうだと思って……でも私には不慣れな場所でした」
「不慣れ?」
「あっ! ……実は、大勢の人が集まるところが得意ではないんです」


 酔いが回って少し気が抜けてしまっているのか、それとも目の前の惺久が話しやすいからなのか。
 或いはどちらもなのかもしれないが、六花は自然と自分の話をしていた。


「でもクリスマスイヴくらい、別の自分になって楽しんでもいいかなって。仮面を付けていれば誰も私とはわからないし」
「そうですね」
「けれど、結局私には場違いな場所だったなって思いました」


 へらりと笑って白ワインを口につける。

 本当は現実から逃避したかったのかもしれない。
 借金という目の前の現実から、一時だけでも忘れて楽しみたかった。

 だけどあの場所はあまりにも身分不相応すぎて、余計に現実を突き付けられた気分になった。


「すみません、急にこんな話をして。永瀬さんってなんだか話しやすいですね」


 弁護士という職業柄、人の話を聞くのは慣れているからかもしれない。


「……僕も、何故か涼風さんには初めて会った気がしないと思っていました」


< 21 / 115 >

この作品をシェア

pagetop