離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。


 まさかあのマスカレードパーティーが最初から六花のために用意されたものだとは知らなかった。


「でもりっちゃん、あんまり楽しくなかったのかなって。余計なお節介だったかなって思ったけど、まさかそんなことがあったなんてね〜!」
「そうだったのね……」
「直接ママに結婚を申し込むに来るなんて、よっぽどだよ! すごい人に見初められちゃったね」
「いやいや、私じゃなくて夏芭がね」


 惺久は一夜を過ごした相手は夏芭だと思っている。
 夏芭の名前を名乗ったのだから当然だが。


「でも実際はりっちゃんでしょ」
「無理よ。私なんて不釣り合いすぎる」


 大きな法律事務所代表の息子で弁護士と、借金を抱える貧乏家政婦の自分では格差がありすぎると思った。


「ちゃんとお断りする」
「えー、玉の輿に乗れるかもなのに? ワンナイトしたってことは、りっちゃんとしてはアリだったわけでしょ?」
「う、それは……」


 それは全くの否定はできない。
 むしろアリだと思ってしまったから、一夜を共にしてしまったことは否めない。


「でも、やっぱり私なんて不釣り合いだよ」
「そんなこと考えなくてもいいと思うけどねー。まありっちゃんが乗り気じゃないなら、いいんじゃない?」


 夏芭はやや不服そうだったが、六花の気持ちを尊重しようとしてくれた。


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