離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
とりあえず夏芭に本当のことは話せたので、二人でダイニングルームに戻った。
鍋は出来上がっており、宏海も帰宅していた。
「ただいま。聞いたよ、夏芭。永瀬さんにプロポーズされたそうだね」
「パパ、そのことなんだけど」
「驚いたよ。永瀬さんといえば、あの六条財閥会長のお孫さんだからなぁ」
「……え?」
六条財閥といえば、国内有数の大財閥だ。
航空業、飲食業、金融業など多岐に渡る六条グループ系列の企業を経営・運営している。
「どうやって出会ったのか知らないけど、すごい人にプロポーズされたねぇ」
「え、それって本当なの?」
「そうだよ」
六花と夏芭は顔を見合わせた。
どうやら想像以上に永瀬惺久はすごい人物だったようだ。
「もちろん夏芭の意思を尊重するけれど、一度お見合いをしてもいいんじゃないかな」
「そうね。六条銀行はうちのメインバンクでもあるし、わざわざ訪ねてくださったのだから一度お会いするのが筋よね」
「……え」
まさかの展開に二人は焦った。
電話で丁重に断れば問題ないと思っていたが、まさかお見合いする流れになるとは思わなかった。
「待って、ママ! 私結婚する気ない」
「だったら本人に直接言いなさい」
「でも……!」
「わざわざ訪ねてくださったんだからこちらも直接お会いしなかったら失礼でしょう」