離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
しかしそうなっては、期限付きの結婚の方が断りにくくなってしまう。
ラブタンの新作なんて恐らく十万円は軽く超えている。そんなに高価なものをプレゼントしてもらいながら、契約結婚はお断りですとは言いづらい。
(まさか、それが狙い……?)
惺久は六花が靴を受け取ると、「受け取ってくださって良かったです」と安堵していた。
夏芭にも靴を壊してしまったことを謝罪していた。
一見とても真面目そうな人に見えるが、本当は策士なのだろうか。
人は見かけによらないと言うし、こればかりはわからない。
「りっちゃん、私は結婚するのありだと思うよ」
夏芭の言葉に思わず飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。
「夏芭!?」
「一年だけでしょ? 報酬はきちんと支払ってもらえるんですよね?」
「ああ、約束します」
「ねぇりっちゃん、残りの借金全額支払ってもらおうよ」
一体何を言い出すのかと、夏芭のことを食い入るように見つめる。
「そうすればお互いにウィンウィンじゃない」
「ちょっと待って! 全然ウィンウィンなんかじゃないよ!」
「借金?」
「実はりっちゃん、亡きお父さんから受け継いだ借金があるんです。無理矢理背負わされたのに、必死に頑張って返済してるんですよ」
夏芭は惺久に向かって訴えかけるような口調で言った。