離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
* * *
「はぁ……、緊張する」
今日は両家顔合わせの日。
互いの家族への挨拶が終わったと思えば、あっという間に両家顔合わせの日が訪れていた。
凪子の着物を貸してもらった六花は、先程から何度も同じ場所を行ったり来たりしている。
「りっちゃん、落ち着きなよ」
「だって」
夏芭はやれやれと溜息を吐きながら、バッグからファンデーションを取り出して六花の頬に叩き直す。
今日のヘアメイクは夏芭がやってくれた。
「こんなに綺麗なんだから大丈夫だって」
「ありがとう、夏芭」
「ふふっ、結婚式のメイクも私にやらせてね」
「ありがとう、よろしくね」
結婚する理由が理由だけにあまりお金をかけることをしたくはなかったのだが、六条財閥会長の孫で永瀬法律事務所代表の息子で後継者でもある惺久が結婚式をしないというのは難しかった。
各方面に配慮や根回しが必要となり、どうしても避けられない。
特に惺久の祖父である会長は大乗り気で結婚式、披露宴の資金は任せろと胸を叩いていた。
惺久自身も派手な挙式や披露宴は避けたかったようだが、こうなった祖父は止められないとげんなりしていた。
実際に挨拶をして、会長も惺久の両親も良い人だということはわかったし、思いの外歓迎もされた。
だが本当のところはどう思っているかわからない。
惺久の妻として、恥じない姿で臨まなければならない。
夏芭には「これから戦場に向かうみたいだね」と笑われた。
「六花、遅くなってすまない」