離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。


 言われるがまま試着室に押し込まれた。
 慣れないドレスの試着に戸惑いながら、カーテンを開けると夏芭は満面の笑みを浮かべて興奮する。


「すっごくかわいい!!」
「そうかな?」
「やっぱり少しくらい肌見せする方が綺麗だよ!」
「じゃあ、これにします」
「ええっ!?」


 一着目であっさり決めると夏芭は慌てる。


「他のも試着してみないの?」
「うーん、似合ってるならこれでいいかな」
「えーー、りっちゃんってば……」
「お色直しのカラードレスは二着も選ばなくてはいけないからサクサクいきましょう」


 夏芭は納得いかなさそうだったが、カラードレスのコーナーに向かった。
 ウェディングドレスと比べるとデザインの種類がもっと豊富になり、殊更どれが良いか決めかねてしまう。


「カラードレスは大抵の方は好きなお色を選ばれますね」
「りっちゃん好きな色は?」
「白かな」
「それだと変わり映えしないじゃない。印象をグッと変えて惺久さんを見惚れさせなきゃ!」
「いや、それは……」


 六花は一瞬でも想像してしまった、自分に向かって「綺麗だ」と微笑んでくれる惺久のことを。
 想像するだけで顔が熱くなる。


「りっちゃん今妄想したでしょ?」
「し、してない!」


 恥ずかしさを隠したくて六花は適当にドレスを手に取った。


「これなんてどう?」


< 57 / 115 >

この作品をシェア

pagetop