離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
ファイナンシャルプランナーは受取人が六花だと言ったが、実際は貴雪本人だった。
貴雪は自分で自分に保険金をかけていたのである。
その場合、死亡保険金が故人の財産扱いとなり、受け取った時点で相続を承認したとみなされる。
つまり借金を背負うとみなされたのだ。
後になってこのファイナンシャルプランナーは貴雪に金を貸した金融会社の者であると知る。
借金を確実に支払わせるため、連帯保証人を立てなかった貴雪に強引に相続人を立てさせたのだ。
死亡保険金を敢えて自分自身にかけさせ、本人には受取人は娘だと嘯いた。
保険金を受け取らせれば、自動的に借金を背負わせ保険金も回収できる。
あまりにも巧妙な手口であった。
五百万円は借金の返済で消えた。
しかしそれでも利子が上乗せされた数百万円の借金が残っている。
途方に暮れる六花に手を差し伸べてくれたのが、涼風宏海だった。
宏海はかつて糸井工房で働いていた貴雪の一番弟子であった。
「師匠には大変お世話になりました。今の自分があるのは師匠のおかげです。六花さん、良かったらうちに来ませんか?」
お金がなかった自分を雇ってくれ、貧乏だった頃に食べさせてくれたと感謝していた。
今はSuzukaze.incというインテリアメーカー企業を立ち上げ、成功している。