離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
ピコンという音とともに写真も送られてくる。
夏芭がオレンジのカラーグラスをかけて可愛らしく笑いかけていた。
私は勢いのまま夏芭に電話をかけていた。
《もしもし〜? どうしたの?》
「夏芭ぁ……っ」
《えっ!? りっちゃん!?》
「うっ、うっ……」
電話口で号泣する私に驚いた夏芭は、宥めながら私の居場所を訊ねた。
○○駅の近くだというと、「わかった」と言って電話が切れた。
その約二十分後。
「りっちゃん!!」
「夏芭……?」
駅から出てきたのは夏芭だった。
「どうして?」
「友達と隣の駅の居酒屋で飲んでたの。もうお開きにするところだったから先に帰らせてもらった」
夏芭はボロボロに泣いて化粧が落ちた六花の頬にそっと触れる。
「大丈夫?」
「っ、なつは……っ」
夏芭の顔を見たら、再び涙が溢れ出ていた。
こんな風に号泣したのは父が亡くなった時以来だった。
泣くのはこれで終わりにしようと決めて、それからは人前で泣いたことなんてなかった。
夏芭はハンカチを貸してくれて、六花が落ち着くまでぎゅっと抱きしめてくれた。
*
「ちょっと散らかってるけど気にしないで」
二人はタクシーで涼風家に帰り、夏芭の部屋に入った。
今日は宏海も凪子も仕事終わりに仙台にある宏海の実家へ帰っているらしく、今夜は夏芭一人なのだという。