離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。


 彼のことを信じたいのに信じ切れないのは、本当の夫婦ではないからだ。
 最初から離婚前提の契約結婚だったのだ、冬実との間に何か取引があったのではないかと勘繰ってしまう。

 そして、冬実に対しても苛立ちを隠せない。
 勝手に出て行って貴雪の葬儀にも顔を出さなかったくせに、今更会いたかったなんて虫の良すぎる話だ。

 色んな思いがグチャグチャに入り乱れ、六花はどうしていいかわからなかった。


「ひどいね、惺久さん」


 夏芭がポツリと呟く。


「りっちゃんのこと大事にするって言ったくせに、泣かせてる」
「……っ」
「好きなひとに嘘つかれてたら、誰だってムカつくし悲しいよ」


 その言葉に顔を上げた。


「えっ、あの、好きなひとって」
「惺久さんのこと好きなんでしょ?」
「あ……」


 夏芭にはいつの間にかバレていたらしい。
 指摘されると急に顔が熱くなる。


「……いつから知ってたの?」
「りっちゃん、最初から惺久さんのこと好きそうだったじゃん。絶対認めたくないって感じだったけど」


 やはり付き合いが長い分、夏芭に隠し事はできないなと思った。


「だって、私じゃつり合わないから」
「つり合わないって何? 誰が決めるの?」
「それは……」
「自分の思ってることちゃんと言わないの良くないと思う」


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