離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。


 とは言え家政婦の仕事も楽しかった。
 家事は嫌いではないし、どんな料理も美味しいと言って食べてもらえることは嬉しい。

 宏海も凪子も料理が苦手で外食が多かったそうだが、六花が来てから帰宅が楽しみになったと言ってくれた。
 夏芭は好き嫌いが多く偏食気味だったが、「りっちゃんが作ってくれたものなら好き」と言ってくれる。


(私は今の生活で充分幸せ)


 借金を返済するために夜職をすることも過った。
 だが家政婦の仕事だけで何とかなっているのは涼風家のおかげだ。

 この家族のためにできることは、なんでもしたいと思った。


「そういえば六花さん、来週のイヴの周年パーティーだけどあなたも来るわよね?」


 凪子が言っているのはSuzukaze.incの創立二十周年の記念パーティーだ。
 クリスマスイヴに開催されることになっており、クリスマスパーティーと合わせてかなり豪華なものになるとのこと。


「いえ、私は社員じゃありませんし……」
「今回のパーティーは社員の家族も出席するから問題ないわ」
「六花さんは家族だもんな」
「そんな、恐れ多いです」
「水臭いわね、遠慮しないで。夏芭も覚えてるでしょ?」
「……えっ?」


 話を振られた夏芭は一拍反応が遅れた。


「何よ、言ったわよね。ゲストでアーティストを呼んでいるからメイクを頼みたいって」
「……」


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