離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
女性は尚もヒステリックに叫んでいたが、六花が「警察に通報しますよ」というと急におとなしくなって去って行った。
「あの時のりっちゃん、カッコよかったなぁ」
「そんなことないよ」
「カッコよかったし、すごく嬉しかった。夏芭のこと信じてくれたから」
「そんなの当然じゃない。夏芭があんなことするわけないもの」
全く夏芭の好みじゃなかったしね、と笑うと夏芭は六花の頬をつついた。
「りっちゃんはいつでも夏芭の味方でいてくれるし、いつも傍にいてくれたよね」
「……それは、夏芭もだよ」
今も夏芭が寄り添って話を聞いてくれて、自分のことのように怒ってくれるから安心できる。
自分は一人じゃない、味方になってくれる人がいるのだと思えるだけで辛い気持ちが和らいでいく。
「ありがとう、夏芭。惺久さんとちゃんと話してみようと思う」
「大丈夫?」
「うん。だから夏芭、落ち着いたらまた話聞いてくれる?」
「もちろんだよ!」
夏芭は嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。
「ずっと一人っ子だったから夢だったんだぁ。お姉ちゃんと恋バナするの」
「……私も嬉しい。夏芭と、“妹”と恋バナできるの」
初めて本人の前で口にした「妹」という言葉は、想像以上に照れ臭かった。
自分は雇われの家政婦だから弁えなければいけない、とずっと律していたけれど、本当はずっとこんな風に夏芭と話をしたかった。
「りっちゃ〜ん」
夏芭は感激したように、目に薄っすら涙を浮かべて六花に抱きついた。