離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
惺久は冬実と六花の話の類似点から、二人が親子なのではないかと察したということだ。
顔が似ている点については、少し複雑に思った。
「言い出せなかったのは、君が古賀さんと会いたくなさそうだったからだ。正直迷っていたが……」
「いえ、そのことについては大丈夫です。お気遣いいただいてありがとうございます」
だが、それよりも気になるのはその前から六花を知っていた、という点についてだ。
「あの、それより私のことを前から知っていたというのは?」
「俺たちが会ったのはあのパーティーが初めてじゃないんだ」
「え……? どういう意味ですか?」
「これ、覚えてないか?」
そう言って惺久が差し出したのは、一枚の絆創膏だった。
キャラクターものの絵が描かれている子ども用のものだ。
マジックペンで「絶対合格!」と書かれていた。
その文字には見覚えがある。というより、六花の書いた字だった。
(あれ……これって)
バラバラになっていたパズルのピースが当てはまっていく。
瞼の裏に映し出されたのは、やや意地悪に六花を見つめながら、でもどこか優しい瞳をした黒髪の青年だった。
彼の面影が目の前にいる惺久と重なる。
「……ハルさん?」
「やっと思い出してくれた」
惺久は嬉しそうに、そして少し安心したようにふっと笑みを溢す。
その笑顔にどこか懐かしさを感じ、彼があの時の“ハルさん”なのだと再認識した。