離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
そう言って恥ずかしそうに差し出したのは、キャラクターの絵柄の絆創膏だった。
惺久は思わず笑ってしまう。
「そんなにかわいいの、俺が使ってもいいの?」
「嫌でなければ」
「ありがとう」
絆創膏を受け取ろうとすると、「私がやります」と言って彼女自ら指に巻いてくれた。
「これで大丈夫」
「ありがとう」
もう一度お礼を言うと、嬉しそうにはにかむ。
ふんわりとした笑顔に癒された。
「いつもここで勉強してるよね。受験勉強?」
「はい。私立は受けられないので絶対に合格したくて」
そう言い切った少女の眼がとても真っ直ぐで眩しかった。
「良かったら勉強教えようか?」
「ええっ!?」
図書館だというのに思わず大声を出してしまい、慌てて口を押さえていた。
そんな仕草がかわいらしかった。
「絆創膏のお礼に」
「えっ……でも、お兄さんも勉強してますよね?」
「俺はまだまだ先だから。何の教科が苦手なの?」
「えっと、数学がすごく苦手なんです……」
「たとえばどの問題?」
「これとか」
「ああ、それなら」
そのまま成り行きで数学を教えることになった。
教えると言い出したものの、内心忘れてしまっていないか心配だったが問題を見たらすんなり記憶を掘り起こせた。
惺久の説明に対し、彼女は熱心に耳を傾けている。
「……って感じで、解けると思うんだけど」
「なるほど!」