離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
六花に勉強を教える中で、自分は弁護士志望でそのための勉強をしていることを話した。
すると六花は以前惺久にくれた絆創膏を取り出し、マジックペンで「絶対合格!」と書いて惺久に渡す。
「はい、お守りです」
「いや、俺はまだまだ先だぞ? ロースクールを卒業しないと司法試験の受験資格もないし」
「だから全部ひっくるめてのお守りですよ!」
無邪気に微笑んだ後、六花はハッとして焦ったような表情になる。
「い、いらなかったですか……?」
上目遣いで不安げに見つめる六花に、思わずクスリと笑って絆創膏を受け取る。
「ありがとう」
「えへへ……」
頬を桜色に染めてはにかむ六花のことを、かわいらしいと思った。
「その前に六花の合格だけどな」
「じゃあハルさんも書いてください」
六花は絆創膏とマジックペンを惺久に差し出す。
「いいよ。なんて書く?」
「同じで」
「わかった」
惺久はサラサラと絆創膏に「絶対合格」と書いて六花に渡す。
「ありがとうございます! 受験の日も持って行きます!」
「大袈裟だな。合格発表っていつだっけ?」
「二月二日です」
「じゃあその日、この図書館で待ってるから。受かったら六花の好きなものなんでも奢る」
「いいんですか?」
「合格できたら、ね」
「頑張ります」
また意地悪なことを言いながら、内心では今の六花なら絶対に合格すると思っていた。
とびきりの笑顔で報告してくれるのだろうと今から楽しみにしていた。
しかし二月二日、六花は図書館に現れなかった。