離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
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「桐光、頼みがあるんだ」
その日から惺久は桐光に頼み込み、Suzukaze.incの涼風社長を紹介して欲しいと言った。
Suzukaze.incのメインバンクは六条銀行だったからだ。
「ついにお前にも運命のひとが現れたか。従兄弟のよしみで協力してやろう」
桐光はニヤニヤ笑いながら、涼風社長の名刺を渡してくれた。
恋愛に関しては淡白で去るもの追わずだった惺久が、どうしても逃したくないと思った。
(本人の名刺をもらわなかったのは失敗だったな)
夏芭と直接連絡を取る手段はない。
運営側に問い合わせれば夏芭の連絡先や住所はわかるだろうが、流石に六条の身内といえどもそこまでは教えてもらえないだろう。
そこで惺久は涼風社長にアポイントを取り、直談判しに行くという大胆な行動に出た。
「永瀬法律事務所の永瀬惺久と申します。この度はお嬢様の夏芭さんに結婚の申し込みをさせていただきたく、お願いに参りました」
「う、うちの娘とですか!?」
当然ながら涼風社長は目玉が飛び出そうになるくらい驚愕していた。
「突然このようなお願いをしてしまい、申し訳ございません。以前夏芭さんとお会いしたのですが、連絡先がどうしてもわからず……。無礼を承知で涼風社長を伺ったのです」
「そ、そうですか……まずは娘に相談してみます」