同棲中彼は、顔だけかも、しれない。
 ……が。

 「俺の家、部屋が空いてるから使っていいよ。二、三日なら」
 
 まさかのTL的展開に――!

 「いえ、流石にそれはあまりにも常識外れ、というか」

 いくら上司とはいえ、信頼してない訳ではないが一応、男と女だし。
 両手を使って拒否するも、

 「結依ちゃんの事を信用してない訳ではないけど貴重品も機密情報もあるし、一人では置いとけないんだ。かといって俺も帰りたいし」

 社員としてどうか? という心配をされていた。


 ということで。

 「客間好きなように使っていいから。布団も」
 
 「ありがとうございます」

 とりあえず今晩は、社長宅に泊まらせて頂く事になったのだが。
 
 一つだけ条件があった。
  それは、

 「じゃあ、夜、俺が呼んだら来てね」

 寝ていても、深夜でも ″あるタイミング ″の時は、すかさず起きて社長の指示に従う事――

 聞いた時は嫌悪感を持ったが、しかし、背に腹はかえられない。
 
 野宿よりはマシだと考えて、″その時 ″が来ない事を祈って夜を迎えた。
 


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