同棲中彼は、顔だけかも、しれない。
 「早く! 早くしてくれ!」

  言い方を変えると、私を盾にして ″あるモノ ″から自分の身を守ろうとしている。
 
 「あそこですね」

 私は、薄暗いオレンジ色の灯りを頼りに、奴を一発で仕留めるつもりでいた。

 奴とはG――

 つまり、ゴキブリの事。
 掃いていたスリッパを脱ぎ、右手に掴んでソロリと近づく。
 
 パシィィッ!!
   
 手応えあり!



 
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