同棲中彼は、顔だけかも、しれない。
 「自分で?」

 頷いたアタルが、「巣も全部ぶっ壊してきた」とゴミ袋を得意気に私に見せた。

 「大丈夫? 鼠には菌があるのよ?」

 今まで何を言っても動いてくれなかったのに。

 「鼠がいなくなりゃ、結依はこの家に戻ってくるだろうと思って」

 驚くような見当違いの事を言って、アタルは風呂場へと行く。

  「……」

 やっぱり、馬鹿なの?

 私が家を出た理由、鼠でまとめやがった。

 問題も改善点も、そこじゃないのに。

 ……が。
 もうどうでもよくなった。

 そもそも私が帰ってきたのは、……気が付いたからだ。

 
 どんなに甲斐性無がなくても、社会人として今は問題あっても。

 いざという時、アタルは、きっと私を盾にしたりはしないと。

 (根拠はないが)
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