同棲中彼は、顔だけかも、しれない。
 鼠の事は一旦忘れ、料理に取りかかる。
 今夜は、安い材料費で何日分も出来るカレー。
 アタルがそれを黙々と食べる。

 「ねぇ、仕事しないの?」
 
 付き合って五年。同棲して四年。 仕事をしていたのは始めの一年だけ。

 「今、創作中だもん」

 アタルは自称、売れない作家。
 ていうか小説書いて稼げないのだから、″作家 ″ではないと思うのだが。

 「それが完成したってお金にはなんないでしょ?」

 「うるせ。俺は金より夢で腹一杯になる人間なんだ」
 
  じゃカレー食うなよ。



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