あの人に会いにいく。
「ねぇ、京ちゃんさぁ。今日は街中が煌めくクリスマスイベントだろ? そろそろ彼女作る気とかないわけ?」


 人差し指で肩のところをぐりぐりと押され、毎年恒例のことを訊かれる。坂下も相変わらず懲りない男だ。


「うるせぇよ。作る気ないってわかってんなら諦めろ」


「無理だよー。京ちゃんには幸せになってほしいんだって。過去を忘れろって言ってるわけじゃねぇけど、いい加減前を向きたくならない?」


「女作ったら幸せになれるとか思ってるバカな頭で羨ましいよ」


「ちげーよ、んなこと思ってねぇ。でもさ、京也はいっつも悲しい顔してる。俺、京也には笑っててほしいんだよ。あんなに大好きだーって言ってたサッカーにすら笑わなくなったんだ。これ以上お前を笑顔にするのは、また別の何かか。それとも自分を曝け出せる人とかじゃねぇの?」
< 6 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop