海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
そして―⋯

私はどうやら⋯秦広王に担がれているようだった。
まるでボロ雑巾の如く、肩にぶらり⋯ぶらり、と。

「おいおい、暴れるなって。⋯コイツを諌めるにも名前がないと、不便だな」
福が男へとポツリと漏らす。

暴れる私を力ずくで押さえつけながら、暫くしてから⋯

海棠(カイドウ)と呼ぶことにしよう」
と、男はそう呟いた。

(カイドウ?どういう⋯意味?)

「お前が握っていた花の名前だ」

親切にも、心の声に答えてくれる。
(カイドウ⋯?知らない花だ。検索すれば、⋯⋯あれ?そういえば、いつも持ち歩いてるスマホは?)

「なぜ握っていた?」

(覚えてないのに、どう答えよと。それよりGoogle先生に聞きたいのに)

「⋯⋯。海棠、これ以上暴れるなら、ここに捨てていく」

トン、と首元に衝撃が走って。

そこから一切の記憶が⋯遮断された。

結局のところ、自分の生死も、ここがどこで、この人達が何者なのかもわからぬまま⋯

次の展開ヘと、コマを進められた形だ。

海棠《カイドウ》。
私が最期に握っていた、花。

どんな花で、どんな意があるのかも、まだ知る由もなく⋯旅路についたのであった。
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