海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
第4話 夏王朝の辺境を護る者たち
さて。何度目の目覚めになるのであろう。
次にハッと気づいた時には⋯砂埃がもうもうと舞う、どこぞの軍の陣営の中。
日本には自衛のための軍はあるが⋯⋯一見して、それじゃあない、ってことくらいはわかる。
まず、迷彩服ではない。
まるで⋯時代劇のような出で立ちだ。
屈強な男たちが、号令に従って、ひたすら剣を振る。そんな泥臭くも、勇ましい現場。
「⋯⋯⋯」
日に焼けた者達の、汗が飛び散り⋯猛々しくも一糸乱れぬその動きを、目を凝らして眺める。
真剣なのか、模造刀なのか⋯。
フィクションなのか、ノンフィクションなのか。
銃砲刀剣類登録証がなけりゃあ、銃刀法違反になる。日本ならば、だけれども。
「⋯⋯うーん⋯」
また、知らない世界に来たのか?と、見極めようと本能に従って立ち上がろうとしたその時に、自分が縛られて身動きできないことに気づく。
「⋯⋯?!」
こともあろうに、大きく太い木の幹に、ぐるぐる巻きに固定されてるじゃあないか。
(こんな、森の奥のような場所に⋯なぜ)
と、大きな疑問を抱えたその時に、視野に飛び込んで来たのは⋯
大男達の中で、一際光を放つ、あの男。
ドスの利いた低音ボイスで、偉そうに号令を掛けて統率しているその主は。
「秦広王!!おーい、秦広王!」
見知っている顔がいることにひとまず安堵し、助けを乞う。
が、肝心の秦広王は完全スルー。
それどころか、訓練中の男衆も、一切こちらに目を向けることもない。
「ねえってば。ちょっと⋯
まあ、無駄か」
もちろん、一応はわきまえている。
重罪と言った本人が、助けることはしないであろうことくらいはわかっているのだが⋯フィクションであれば、機密裏のストーリーのおかげで、いつの間にやら状況が変わっているって事案は多々あるので⋯一縷の望みをかけてみたのだが。
「ダメか」
どうやら、裏ストーリーはないらしい。
⋯作戦変更だ。
「孫子曰く。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり(※兵法より)」
そう。戦わずに相手に勝つことが、最善の策である。
私は再度叫んで。それから⋯ぐったりと頭を垂れる。渾身の気を失ったぞ、アピールだ。
次にハッと気づいた時には⋯砂埃がもうもうと舞う、どこぞの軍の陣営の中。
日本には自衛のための軍はあるが⋯⋯一見して、それじゃあない、ってことくらいはわかる。
まず、迷彩服ではない。
まるで⋯時代劇のような出で立ちだ。
屈強な男たちが、号令に従って、ひたすら剣を振る。そんな泥臭くも、勇ましい現場。
「⋯⋯⋯」
日に焼けた者達の、汗が飛び散り⋯猛々しくも一糸乱れぬその動きを、目を凝らして眺める。
真剣なのか、模造刀なのか⋯。
フィクションなのか、ノンフィクションなのか。
銃砲刀剣類登録証がなけりゃあ、銃刀法違反になる。日本ならば、だけれども。
「⋯⋯うーん⋯」
また、知らない世界に来たのか?と、見極めようと本能に従って立ち上がろうとしたその時に、自分が縛られて身動きできないことに気づく。
「⋯⋯?!」
こともあろうに、大きく太い木の幹に、ぐるぐる巻きに固定されてるじゃあないか。
(こんな、森の奥のような場所に⋯なぜ)
と、大きな疑問を抱えたその時に、視野に飛び込んで来たのは⋯
大男達の中で、一際光を放つ、あの男。
ドスの利いた低音ボイスで、偉そうに号令を掛けて統率しているその主は。
「秦広王!!おーい、秦広王!」
見知っている顔がいることにひとまず安堵し、助けを乞う。
が、肝心の秦広王は完全スルー。
それどころか、訓練中の男衆も、一切こちらに目を向けることもない。
「ねえってば。ちょっと⋯
まあ、無駄か」
もちろん、一応はわきまえている。
重罪と言った本人が、助けることはしないであろうことくらいはわかっているのだが⋯フィクションであれば、機密裏のストーリーのおかげで、いつの間にやら状況が変わっているって事案は多々あるので⋯一縷の望みをかけてみたのだが。
「ダメか」
どうやら、裏ストーリーはないらしい。
⋯作戦変更だ。
「孫子曰く。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり(※兵法より)」
そう。戦わずに相手に勝つことが、最善の策である。
私は再度叫んで。それから⋯ぐったりと頭を垂れる。渾身の気を失ったぞ、アピールだ。