一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 さっき見てしまった岡田の裸体が、強烈に瞼に焼き付いていて、あれに抱っこされたのだと思ったら、改めてドキドキした。
 
 二人、エレベーターに乗ったところで。
 ……そうだ。

「ねぇ、蛯原さん」
 
「ん?」
 
「岡田さんて、ただのドライバーじゃないですよね? 」
 
 ちょうど、ベテランのこの人に聞いておきたいと思っていた、岡田の過去を。
 
 すると、蛯原さんが再びからかうように笑った。
 
「桑崎さん、鋭いわねぇ」
 
「あ、何となくです」
 
  ただの添乗員の勘。
 
  蛯原さんが答えた。

「前に仕事一緒にして、1人海外からの留学生が参加した時も、やけに英語話せるから聞いてみたのよ。ずっと運転士だったのかって」
 
「ええ、それで?」
 
「そしたら、以前は大手旅行会社の営業してたみたいね。主に法人相手の」
 
「営業?」
 
 
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