一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 座席チェックのため宴会場へ。
 結婚式も行われるホテルだけあって、広い。
 
 ピンク色のテーブルカバーが、ウェンディングカラーみたいで、ちょっぴり胸がざわついた。


 『結婚しよう 』
 
 『そしたら、仕事、控えてくれるよね? 』
 

 別れたあの人は、元々、結婚相手には専業主婦になってもらいたいタイプで、私の仕事も軽く見ていた。
 
 私は、仕事が好きだったのに。
 
 だから、終わって良かったのよ。
 
 ……なんて。
 
 過去の恋愛をちょくちょく思い出す辺り、私の仕事はまだ生ぬるい。
 
 気持ちを切り換えてテーブルの札と座席を確認。
 今日はお一人様は全て同じ席。

 【南部観光バス様】の他に、【ATB中国南京支店様】の席もあった。
 
  中国のツアー団体と同じだったか。
 
 昼間のトラブルを思い出すと、やっぱり不安になるし気が重かった。



 
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