一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 チェックを終え、ランドリールームに戻ると、丁度脱水まで終わっていた。
 
 乾燥機にかけようとしてシャツを取り出し、それを眺めていると、再び愛しさと懐かしさが込み上げてきた。
 
 ……この制服。
 
 現役時代の父を思い出す。
 その昔、父は南部観光バスの運転士をしていたから。
 
 そんな父の影響で、私自身も旅行が好きになった。
 
  恋人がお客様ではなく、旅行業界のことを知っている男性なら、価値観もずれなかったし、仕事に関して理解もしてもらえただろう。
 
 たとえば、岡田のような運転士なら……。
 
 
「……本当に、ノーマルなら、ね」

 ハッ!と、自分でもビックリするような事を呟いた時だった。
 
「桑崎さん、洗濯?」
 
 
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