一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 さっきまでの胸の痛みが、少しずつ薄れていく。
 
 岡田が、自分だけじゃなく、私をも侮辱したことに怒りを(あらわ)にしてくれたから。

「横から失礼します」
 
 遠巻きに聞いていた 三宅くんが間に入ってきた。
 
「僕は独立してフリーになった者ですが、そのスタイルを軽視される理由はなんですか? 納得できるように説明してください」
 
「……はぁ?」
 
 第三者の登場におさまり悪くなったのか、ATBの添乗員は、デザートの所で揉めている自身の客の方へ何も言わずに向かっていく。
 
 あちらはあちらで大変そうだ。
 
「お二人とも、暇ならこっちのテーブルに同席してくださいよ、話が尽きてきたところです」
 
 三宅くんが、私と岡田を笑顔で手招き。
 ランドリールームでの気まずさを感じさせない態度。
 
 本当に良い子だな、と感激していると、また、新たなトラブルが生じた。
 

「添乗員さん! 大変!」





 
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