一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
『客の容態は? 身内とか、うちの会社には連絡したのか』
 
 私は、赤石さんの現在の状態や今後のこと、連絡するご家族がいないことを岡田に話した。
 
『造影検査は早くて明日だろう、どっちにしろその客の旅の続行は不可能だ』
 
「……はい」
 
 そうだ。
 私たちは、明日には地元に戻る。
 
 知らない土地に置き去りにされる赤石さんの気持ちを考えると、いたたまれない。
 
『後は病院に任せて、あんたは帰ってこい』
 
 ガラス越し、モニターやら心電図やら、様々な器機に囲まれた赤石さんを見て、胸が痛くなった。
 
 今は落ち着いていても、いつ、また症状が悪化するのか分からない一人ぼっちの老女。
 
 やっぱり、 置いてなんか行けない。

「私は……」
 
『……ん?』

「病院にいます」







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