一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
『は?』
 
 岡田の、怒ったような声が聞こえてきた。いや、完全に怒っている。

『何言ってるんだ? お前はその客の家族か?』
 
 
「だって、一人なんですよ? ……こんな旅先の病院に。目覚めたら誰もいないんですよ? この先どうなるのかも分からないのに」
 
 この時の私は、気持ちが高ぶって頭が熱くなっていた。
 
『しっかりしろ! お前の仕事はなんだよ? 旅行参加者全員の行程管理だろ?』
 
 怒鳴る岡田の声が、キーンと耳に響いた。
 
『お前の仕事は、客が急病の場合、医療従事者にちゃんと引き継ぎをすること。その責任は十分に果たした。よくやったよ』
 
 
 
 
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