一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「……迎えに来てくれたの?」
 
「本当はバスで行こうかと思ったけど、駐車場から出せなかった」
 
 来てくれたくせに、目を合わさずに話す横顔は、それでも頼もしかった。
 
「……ありがとう……」
 
 呟くように御礼を言い、一人分の距離を取ってその隣に乗り込む。

「仕事だからな」
 
 私よりずっと神経も体力も遣う、運転の仕事。
 
 この人の寝不足が心配だ。
 
 そう思いながらも、私の方がタクシーの中で、つい、ウトウトとし、いつの間にか岡田の肩にもたれ掛かって眠ってしまっていた。


 
 
< 127 / 316 >

この作品をシェア

pagetop