一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「私、上野ブライダル、営業課の上野泰子(うえのやすこ)と申します」

 営業部長が女だったから。そして、その若さ。
 まだ24歳くらいではないか?
 
 会社名と名字が同じということは――

「父の右腕になりたくて、大学卒業後、直ぐに企画・営業課に入ったんです」
 
 社長令嬢。
 どうりでこの貫禄、自信たっぷりのオーラ。
 
 苦手だ、と思ったが、仕事は仕事。
 
 俺は、支店長代理として提携の話を進めていった。
 
 その後も、始めに俺が対応したせいなのか、支店長がいても上野泰子は、打ち合わせの際には俺を指名してきた。
 
 呼び出されるのは、上野ブライダルの応接室だけでなく、同系列のホテルの時もあった。
 
 もしかしたら、取引先としてだけじゃなく、個人的に好意を持たれてるのではないかと、思い始めた矢先だった。

 
「岡田さん、うちで働く気はないですか?」
 
 
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