一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「冗談ですよね?」
 
 自分で言うのもなんだけど、女にはそれなりにモテてきた。
 が、いきなり結婚を前提に、とかは無い。
 
「冗談でこんなことは言いません。岡田さんも気が付いていたはずです。大した内容でもないのに、貴方を呼び出す私の気持ちに……」
 
 上野泰子は、下唇をキュッと噛んで、24歳らしい可愛らしい表情を見せた。
 
 だからと言って、苦手であることに変わりはないし、何より、俺には倫子という彼女がいる。
 
 それについては、以前話したことがあるから、その上での告白なんて、よほど自分に自信があるのだろう。
 
 俺は、どうしたら上野泰子のプライドを傷つけないで済むか考えた。
 
「黙りこむなんて卑怯です。ちゃんと答えて」

 女が追い込みをかけてくる。
 
  ″卑怯 ″?
  どっちが?
 
 提携を餌に何度も呼び出してきた自分を棚に上げてか?
 
 
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