一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「それは、もし、お断りしたら上野ブライダルとの提携はなくなるという事でしょうか?」
俺の質問に、今度は上野泰子が黙りこむ。うっすらと涙を浮かべて。
げー。
泣くなんてそれこそ卑怯だ。
ますます断りづらいわ。
「ふられたから取引をやめるなんて、そんな事はしません。でも、そんな質問をしたって事は、答えはノーなんですね」
上野泰子が屈辱感を露にして、その目で俺を見つめた。
人間を試すようなしたたかな猫、いや、獲物を諦めていない女豹の目にも見えた。
倫子もわりかし強気なタイプだけど、この上野泰子はそれよりも上だ。
家と会社に守られて、怖いもの知らずなんだろう。
何かを失った事などないのかもしれない。
俺が、今、守りたいもの――
それは、この数年で手に入れた、仕事の評価だ。
ぬるくなった珈琲をイッキ飲みして、上野泰子に少し間を空けて返事をした。
「以前もお話したように、僕には恋人がいます」
上野泰子は「はい」と小さく頷いて、俺の言葉に耳を傾けた。
「だけど、それはカモフラージュ的な存在です」
俺の質問に、今度は上野泰子が黙りこむ。うっすらと涙を浮かべて。
げー。
泣くなんてそれこそ卑怯だ。
ますます断りづらいわ。
「ふられたから取引をやめるなんて、そんな事はしません。でも、そんな質問をしたって事は、答えはノーなんですね」
上野泰子が屈辱感を露にして、その目で俺を見つめた。
人間を試すようなしたたかな猫、いや、獲物を諦めていない女豹の目にも見えた。
倫子もわりかし強気なタイプだけど、この上野泰子はそれよりも上だ。
家と会社に守られて、怖いもの知らずなんだろう。
何かを失った事などないのかもしれない。
俺が、今、守りたいもの――
それは、この数年で手に入れた、仕事の評価だ。
ぬるくなった珈琲をイッキ飲みして、上野泰子に少し間を空けて返事をした。
「以前もお話したように、僕には恋人がいます」
上野泰子は「はい」と小さく頷いて、俺の言葉に耳を傾けた。
「だけど、それはカモフラージュ的な存在です」