一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「この座席って三日間同じなんですか? 」
 
 ツアー客全員が揃って間もなく、一人の高齢の客が桑崎に質問を始めた。
 
 どうやら、桜の写真を撮るために反対側の席に移りたいらしい。
 
 運転をしながら、そのやり取りに耳を傾けていたのだが、
 
「どなたか席を替わってくださる方はいませんかー?」
 
 桑崎は、その客に応えて他の乗客に打診している。
 
 あほー。
 そんな事にいちいち応えてたらキリがないだろう。
 
 何で「無理です」と断らないんだ。地味な癖に八方美人だな。
 
「僕、替わってもいいですよ」
 
 リバーに何となく似ている、美形の客が替わってくれたから良かったものの。
 
 桑崎を見てると何だが苛々した。

 
 
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