一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 ああ……。
 見かねた俺は、わざとバスを急発進させる。
 不安定に立っていた桑崎は、体勢を崩して南条の上に倒れた。
 
「添乗員さん、細腰だねぇ! ちゃんと飯食ってんの?」
 
 南条の機嫌は一気に良くなっていた。
 ほら見ろ。
 ああいう時は、かる~くボディタッチをするなり、されるなりして、
「やーだー! もう! 南条さんたら!」とか笑ってあしらえばいいんだ。
 
 かたくなに拒むから余計に絡みたくなる。
 
 (やりすぎはダメだが)酔っぱらいはノリで応じれば大抵は気が済む場合か多いのだから。


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